『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
キャロラインと双子は、笑顔で一家の主の馬車を見送る。
影が完全に見えなくなったあと、
――パン!
キャロラインが穏やかな空気を一新するように、手を大きく叩いた。
「さ、お子たち! ちゃっちゃと準備をして、行きますわよぉ〜! ゴーゴーゴーゴーゴー!!」
「ごーごー!」
「わかってるわよ!」
解散とばかりに三人はさっと玄関ホールを離れて、それぞれ自室に戻る。
今日は秘密の作戦を決行するのだ。
ハロルドの誕生日プレゼントを買いに、王都へ!
貴族は、誕生日にはパーティーを開くのが慣わしだ。高位貴族ともなると、家門の権威を示すために大規模な催しを開くのが常だった。
しかしハロルドは派手なパーティーが嫌いで、家族でささやかに祝うことを好んだ。ハーバート家を国王一派に見せたくないという理由もあったが。
でも、今年はちょっとだけ違った。
例年に倣って家族だけの誕生会ではあるが、今年はサプライズでキャロラインと双子で料理を作って、プレゼントもそれぞれが選んで届けようということになったのである。
三人はさっと用意を済ませて、急いで馬車に乗る。出発進行!
「二人はどんなプレゼントにするか決めましたか〜?」
「ぼくは、チョコレートにする! おとうさまは、チョコが、だいすきなんだ!」
「バカっ! みんなでチョコレートケーキをつくるって、きめたでしょう? なんで、プレゼントもチョコにするのよ」
「だいすきなものは、いっぱいあるほうが、いいの!」
「チョコはたべたら、なくなるじゃない? あたしは、おとうさまが、ふだんづかいできるものにするわ」
「ロレッタはもう決まってるみたいねぇ〜。チョコレートケーキの材料も買わないといけないから、色んなお菓子屋さんを見てみましょう〜!」
「あたし、おあじみしてあげても、いいわ!」
「ぼくもー!」
「ふふふ。楽しみですわねぇ〜!」
3人でお喋りをしていると時間が流れるのがあっという間で――……。
「とうちゃーーく!」
双子は勢いよく馬車から飛び降りた。