『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
◇
「ほんっとうに、ムカつく!」
寝室に戻ったロレッタは、クッションを思いっきり床に投げつけた。
「なんで、あたしがあの女なんかに、あやまらないといけないのよっ!!」
晩餐のあと、ロレッタはハロルドに連れられてキャロラインの部屋へ行き、強制的に謝罪の言葉を言わされたのだ。それは彼女にとって、非常に非常に屈辱的だった。
「あの女、『ごめんなさいが言えて、えらいですわ!』だってさ! バカにしているの!?」
ドスンと、2つ目のクッションが叩き付けられた。
ロレッタはこの結婚を反対していた。
いや、今回だけではない。前回も前々回も彼女は猛反対していたのだ。
なのに、王命で公爵の結婚は毎回あっけなく決まってしまった。
国王は息のかかった家門の令嬢を公爵に送ることによって、ハーバート家を抑え付けたかった。ハロルドとしても、国への忠誠心を見せるために渋々従うしかなかった。
しかし、公爵の結婚は毎回悲惨な結果に終わった。新しい妻たちが次々に問題を起こして、離縁されていったのである。
「バーバラが言ってたわ。これまでの女たちは、おとうさまのざいさんをねらう、わるいヤツだって」
それは、乳母とロレッタが仕組んだことだった。
「きっと……ううん、ぜったいにあの女も、おかねめあてにちがいないの。だってバーバラが言ってたもん!」
ロレッタは乳母に絶大なる信頼を寄せていた。自分たちを産んだ母親が死亡したあと、母親代わりにずっと育ててくれたのは彼女だったのだ。
「こんかいも、ぜったいに、あたしがおいだしてやるんだからっ!!」