『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!





「ほんっとうに、ムカつく!」

 寝室に戻ったロレッタは、クッションを思いっきり床に投げつけた。

「なんで、あたしがあの女なんかに、あやまらないといけないのよっ!!」

 晩餐のあと、ロレッタはハロルドに連れられてキャロラインの部屋へ行き、強制的に謝罪の言葉を言わされたのだ。それは彼女にとって、非常に非常に屈辱的だった。

「あの女、『ごめんなさいが言えて、えらいですわ!』だってさ! バカにしているの!?」

 ドスンと、2つ目のクッションが叩き付けられた。


 ロレッタはこの結婚を反対していた。
 いや、今回だけではない。前回も前々回も彼女は猛反対していたのだ。

 なのに、王命で公爵の結婚は毎回あっけなく決まってしまった。
 国王は息のかかった家門の令嬢を公爵に送ることによって、ハーバート家を抑え付けたかった。ハロルドとしても、国への忠誠心を見せるために渋々従うしかなかった。

 しかし、公爵の結婚は毎回悲惨な結果に終わった。新しい妻たちが次々に問題を起こして、離縁されていったのである。

「バーバラが言ってたわ。これまでの女たちは、おとうさまのざいさんをねらう、わるいヤツだって」

 それは、乳母とロレッタ(・・・・・・・)が仕組んだことだった。

「きっと……ううん、ぜったいにあの女も、おかねめあてにちがいないの。だってバーバラが言ってたもん!」

 ロレッタは乳母に絶大なる信頼を寄せていた。自分たちを産んだ母親が死亡したあと、母親代わりにずっと育ててくれたのは彼女だったのだ。

「こんかいも、ぜったいに、あたしがおいだしてやるんだからっ!!」

< 19 / 132 >

この作品をシェア

pagetop