『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!
◇
「ハーバートこうしゃく、すごかったな!」
「おまえ、いつもああやって、あそんでもらってんのか?」
「こんど、オレたちともあそぼうぜ!」
ハーバート公爵夫妻の愉快なエンタメショーが終わると、レックスとロレッタの周りには人だかりができた。
「きょうのドレス、とってもステキね!」
「ほんと、いつもよりはなやかで、おにあいだわ!」
「こうしゃくふじんと、えらんだの?」
二人とも普段の壁の花とは打って変わって、輪の中心で活き活きとお喋りをしている。
「おとうさまは、けんを、おしえてくれるよ! おかあさまは、じょうば!」
「ドレスはあたしがえらんだの。あたしのほうが、こうしゃくけにふさわしいファッションをしってるからね」
楽しそうな二人の様子を、少し離れた場所からハーバート夫妻が目を細めて眺めていた。
「あの子たちは、社交界で上手くいっていないと聞いていたが、杞憂だったようだ」
多忙なハロルドも、執事長から双子の報告は度々受けていた。若干、気難しい気質の二人のことが、少々心配だったのだ。
「もう大丈夫だと思いますわ」キャロラインはにこりと微笑む。「子供は、ちょっとのきっかけがあれば、すぐに仲良くなれるのです。あの子たちは今日、それを乗り越えることができましたわ」
「……それでも、君のお陰だ。感謝する」
「っ……!」
思いも寄らない夫からのお礼の言葉に、ドキリと胸が跳ねた。聖子ではなく、キャロラインとしての彼女の人生では、これまで礼を言われたことなどほとんどなかったのだ。
(な……なんでしょう、この気持ちは……)
胸の奥が温かくなったかと思ったら、今度は一気に火力が上がるように熱くなる。それは初めて覚えた感覚だった。