『あなたを愛することはございません』と申し上げましたが、家族愛は不滅ですわ!


 ハロルドは自然と口角が上がっていた。今日は来て良かったと思った。
 ……キャロラインの行動は、公爵夫人として褒められるものではないが。

 改めてキャロラインについて考える。
 彼女は令嬢時代から評判が最悪だった。社交界に疎い彼にも、その悪評が伝わってたほどだ。

 だが、それは全くの出鱈目なのだと、彼は今この瞬間確信した。
 血の繋がらない子供たちのことをあんなにも思い遣れる人間が、なぜ悪女だと罵られるのだろうか。

「……」

 だとすれば、この荒唐無稽な噂の出所はどこだろうか。
 彼女を陥れたい勢力だというのは火を見るより明らかだ。……それは、王太子との婚約も絡んでいるに違いない。

 ハロルドの腹の中に、にわかに怒りが湧き上がった。
 正義感の強い彼にとって、これは許されないことだった。それの中に、同情以上の気持ちが込められていることに、彼はまだ気付いていなかった。
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