それらすべてが愛になる
 どうしてこんなことになっているのだろう。

 本来ならお休みの土曜日に、いつものオフィスカジュアルに身を包み、いつもと同じ時間にマンションを出た。
 普段と違うことといえば、土曜なら誰もいないからという理由で槙野が運転する車で一緒に出社したことだ。

 今清流は、がらんとしたオフィスで洸と隣り合わせで座っている。
 そして目の前にはコピーされた大量の書類。

 「あの、これは一体…?」

 「専門用語に苦戦してるんだろ、付き合ってやる。繊維と染色、縫製関連、販売分野、最後が他業種で覚えておいた方がよさそうな用語をピックアップしておいた。ざっとこのくらい押さえておけば困らないだろ」

 独特の用語が理解できなくて議事録などで苦労しているのは本当だった。洸には相談したことなかったのに、なぜ知っているのだろう。

 不思議に思いながらホッチキスでまとめられた資料をめくると、専門用語がカテゴリーごとに綺麗に一覧化されていた。けれど―――

 (ざっとって、何ページあるのこれ…?)

 そんな嘆きをぐっと飲み込んで、清流は聞き馴染みのない用語の一覧に目を通す。

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