それらすべてが愛になる
 それから清流は頼まれた資料をまとめ、未知夏などにもチェックしてもらう。予定よりも早く仕上がったので、直接倉科の元へ届けることにした。

 事業推進部へ行くとちょうど自席にいた。
 資料を渡して内容に問題ないことを確認してもらう。どうやら手戻りはなさそうだと安心していると、早く仕上がったことに感謝された。

 「そうだ、使って悪いけど…」

 そう言ってまた別の資料を渡される。役員会議で急遽差し替えになった優先議題、企業投資の件だった。

 自分より工藤さんから渡してもらった方がいい気がするから、と肩を竦める。

 「三ヵ年計画に向けて事業推進としては目玉なんだ。最近の為替情勢から国内の有望な企業は海外からも目を付けられていて、積極的な投資をするなら早めに手を打たないとならないから」

 「加賀城さんは反対されているんですか?」

 「期初の結果だけで判断するのは時期尚早、で一貫しているな。景気の先行きを考えると今がタイミングなのかっていう彼の懸念も分かるんだけど。役員は半々か、やや彼寄りってところかな。覆せるといいんだが」

 やれるだけやってみるよと笑う倉科に、清流は曖昧に微笑むことしかできない。

 「……確かにお預かりしました」


 資料を作りながら、二人は以前からいろいろとぶつかることが多いという話を未知夏たちから聞いた。

 これだけ大きな会社であれば、そういうこともあるのだろう。

 確かに自分は洸の部下だが、経営企画は部署の垣根を超えて手助けをしたりコミュニケーションを取るのも大事だと気づかされた。

 だからこそ清流は洸の醸し出す空気には納得できなかったし、そのせいで物事が円滑に進まないというのは良くないことに思えて仕方がなかった。

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