それらすべてが愛になる
 経営企画課に戻ると、洸は舞原の席でなにやら話しているところだった。
 ちょうど会話が話が終わり席へと戻ってしまう前に、清流は洸を呼び止める。

 「加賀城さん、これ倉科課長から目を通してほしいということで預かってきました。今度の役員会議で差し替えになったもので、なるべく急いで確認してほしいそうです」

 また場の空気が少しピリつく。
 それが洸から発せられていることは明らかだった。

 無言で資料をひったくるように受け取った洸に、清流はつい口を開く。

 「……あの、そういう態度ってどうかと思います」

 足を止めた洸が不快そうにこちらを見た。
 その冷たさに思わず言葉が詰まる。

 「倉科に何吹き込まれてきた?」

 「そういうわけではなく…ただ不毛な諍いをするのはおかしいと思っただけです」

 「工藤が口出すことじゃない」

 頭の片隅で、その辺りでやめておいたら?ともう一人の自分が警告している。未知夏たちも思わず手が止まって成り行きを見守っていた。

 「もちろんそれは分かってます。でも不満があるならお互いきちんと意見を出して話し合うべきで、そうやって課内の雰囲気を悪くするのは違うんじゃないですか?」

 「工藤、俺のやり方が嫌なら、」

 「嫌なら…何ですか?」

 わざと区切るようにそう言って、清流は洸を見上げる。

 「加賀城さんは、これからもっと上の方にいかれる立場なんじゃないんですか?好き嫌いで判断して耳を傾けない人に、従業員はついてこないと思います絶対にっ、」

 突き放すような言い方にカチンときて、気づけば矢継ぎ早に言葉をぶつけていた。
 言い切ってしまってから、清流は自分のしでかしたことの大きさに青ざめる。

 「……すみません、ちょっと失礼します」

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