それらすべてが愛になる
 ◇◇◇◇

 少し冷静さと落ち着きを取り戻してから自席へ戻ると、洸はすでに外出していた。

 未知夏たちは一様に、大人げなかったのは洸の方だといってくれたけれど、時間が経てば経つほど、自分がいかに冷静さを欠いていたのか自覚していく。

 それに、あれは完全に上司に対する言い方ではなかった。

 二人で暮らす生活にも慣れてきて、マンションに帰ると砕けた調子になることも増えた。自分の中では公私混同しないよう線引きしていたつもりだったけれど、そうでもなかったらしい。


 それから午後の時間は仕事に没頭した。
 来週に回そうと思っていた作業にも手を出して、気づけば経営企画課に残っているのは清流と唯崎だけだった。

 「工藤さんは帰らないんですか?」

 今日は週末ということもあり、未知夏は彼氏とデート、舞原は友人と野球のナイターを見に行くといって定時にはオフィスを後にしていた。

 「はい、これが終わったら帰ります」

 「そうですか、あまり無理はされないでください。お先に失礼します」

 会釈する唯崎を見送ってから二十分後、清流もようやく帰り支度を始める。


 (このまま、まっすぐ帰りにくいなぁ…)

 こういうとき、同じ家に住んでいるというのは気まずい。

 清流はオフィスを出て、とりあえず何か食べて帰ろうと考える。
 駅前へと向かう大通りを歩きながら、前に歓迎会を開いてくれた和食居酒屋の店に行こうと思い立った。

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