それらすべてが愛になる
 「それに最近は息子ともよくぶつかるしねぇ。昔から我が強くて手を焼いていて、つい口を挟む私もよくないのだろうけど…親子というのは難しいものですね」

 額を抑えて困ったように首を振る。

 きっと思春期の息子さんでもいるのだろう。
 家庭の悩みというのは複雑だから簡単に口を挟めないけれど、こんなふうに気にかけてくれるお父さんがいるだけでも、清流としては十分羨ましく思えた。

 気に掛けてくれる人がそばにいてくれるのは、決して当たり前のことではない。

 もし会えるのなら、その息子さんにお父さんをもっと大事にしなよと言ってあげたい。そんなことを言うと、男性はありがとう、と笑った。

 「おや、子育ての悩みですか?うちも奔放な次男に手を焼いてますよ。二言目にはすぐ『うるせえクソ親父!』とか言ってほんと生意気なんですから。
 はい、ひじきと鶏皮の梅肉和えと海ぶどうお待たせ。そちらのお嬢さんにも海ぶどうね、サービスだよ」

 「え、いいんですか?ありがとうございます」

 沖縄の食材ということは知っていたけれど、実際に食べるのは初めてだ。

 箸にとって口に含むと、プチプチの弾ける食感と、爽やかな柑橘系の香りが立ったポン酢の相性がとてもよかった。これはハマってしまうかもしれない。

 「気に入りました?」

 「はい、次来たときは絶対頼みます」

 店主が串焼きの焼き具合をチェックしながら、それはよかったと白い歯を見せた。

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