それらすべてが愛になる
 しばらく料理を食べながら、合間にたわいのない話をした。

 普段は初対面の人だと緊張する質なのだけれど、お店の雰囲気か男性の落ち着いた佇まいのおかげか、会話を楽しむ余裕も出てきていた。

 「一つ伺ってもいいですか?」

 「…?はい」

 「今のお仕事は楽しいですか?」

 どういう話の流れだったか、そう問いかけられた。

 「上司の方、厳しい方なのでしょう?辞めたいと思ったことは?」

 清流は一瞬、返答に詰まった。
 そっと箸を置いて、男性の言われた言葉をゆっくりと反芻する。

 確かに激務で要求は厳しいけれど、それが間違った指摘だったことは一度もない。

 成り行きで入社することになっただけの自分を、ちゃんと一人の部下として扱ってくれている。

 部長権限で会議に陪席させてもらって、この仕事の成果物がどう使われているのかその重要性を教えてくれたのも洸だった。

 それに、もっと課のメンバーの役に立ちたいという目標もある。

 だから今の経営企画課から、洸の下から離れたいかというとそれは否だとはっきり言える。

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