それらすべてが愛になる
 それから数日後、唯崎は再び洸のマンションを訪れていた。

 その日の午前中、唯崎は半休を取って元同業の来栖《くるす》から調査の結果報告を受けていて、その報告書を洸に渡した。

 氏原崇史というフリーライターの行方はすぐに見つかった。
 いろんな週刊誌や三流ゴシップ誌にネタや記事の売り込みをしており、そこから所在地も掴むことができたからだ。

 『氏原は前からあちこちでトラブル起こしていて、とうとう去年の夏にパクられて前科持ちになってる。奏馬の読み通りだな、こっちがちょっと揺さぶったら全部吐いた』

 清流の戸籍は依頼人自身がなりすまして委任状を作成し不正取得していたこと、とある行政書士の入れ知恵で区役所の人間も一枚噛んでいることも分かった。最近はネタを売り込む際に裏付けを求められるため、多少のリスクは承知で取得したらしい。

 依頼人からの入金がまだだったらしく最後まで金を惜しんでいたが、前科持ちであることを指摘したら最終的には洗いざらい吐いたらしい。

 『さすがにムショ暮らしは嫌みたいだな。法的措置の含みは残しておいたから、これでおとなしくなると思うぞ』

 氏原に調査を依頼した人物も判明した。
 ただ、清流の足取りに繋がるような情報は出てこなかった。

 「まぁ、そうだろうな。この短期間でこれだけ調べてくれれば充分だ」

 洸は特に落胆したというわけでもなく、表情は変わらなかった。
 一度だけあいつか、と呟いたがおそらく氏原の依頼人の名前を見たのだろう。その後も報告書を一枚一枚時間をかけて読み込んでいた。

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