それらすべてが愛になる
 空港に着き、清流は久しぶりにスマートフォンを取り出す。
 イタリアに行く前に予定していた、本来行くと決めていた場所へのルートを調べるためだ。

 部屋を出た日、洸のマンションから乗ったタクシーの中でイタリア行きを急に決めて、成田空港へと向かってもらった。
 そのときからスマートフォンの電源を切ってしまっていて、電源を入れるのは4日ぶりだ。

 画面が光ると、通知欄が更新されていく。


 (あっ……)


 その中には洸からの着信やメッセージ、留守番電話の通知を知らせるものもあった。

 その数の多さに驚き、一気に心が乱れる。

 電話の着信履歴を開くと、四日前は数分置きに履歴が残されていた。そのことに気づくと、ぎゅっ心臓を掴まれたように痛み喉が詰まる。

 洸が今どう思っているのか想像ができない。

 こんな無責任な行動をした自分に呆れているだろうか。騙していたことに怒っているだろうか。まだ、心配をかけてしまっているだろうか―――


 最後の履歴は二日前。
 その日を最後に履歴はなかった。

 それを意味するところを想像するのが怖くて、結局メッセージを開くことも留守番電話を聞くこともできなかった。


< 199 / 259 >

この作品をシェア

pagetop