それらすべてが愛になる
「それに俺の方こそ、自分の利益のために地位を利用して結婚を迫ったやつだぞ。清流に結婚するように言った叔母さんやその相手とどう違う?
利用しているのはお前も同じだろって言ったこと、後悔してる。あんな言い方で提案されて、前のこと思い出して嫌な思いさせたよな。だから、軽蔑されるならむしろ俺の方だ」
複雑そうな表情を浮かべる洸の手から、力が失われる。
自分に触れていた指が離れていき距離ができそうになって、清流は慌てて洸の手を掴んだ。
確かにあのときはめちゃくちゃな話だと思った。
でも、あのとき断る手段があったのにそうはしなかった。その理由はもう自分では分かっている。
「…あの、一つ聞いてもいいですか?」
「いいよ、なに?」
「なんで、私だったんですか?」
清流の問いかけに、少し虚をつかれたように目を見開いた。
「日本に戻った後も、気になってた。あの後も変なところへ一人でふらふらしてないかとか、無事日本に帰れたかとか…ちゃんと笑えてるかとか」
「…わ、笑えてる?」
「清流は自覚がなかっただろうけど、俺といる間ずっとどこか浮かないような、何か諦めてるような顔してた。それで、あの料亭の中庭で清流を見かけたときまったく同じ顔してたから…無性に腹が立った。
それで、一緒にいた叔母さんに声かけて話して……この人と環境のせいなんだろうなと思った。だから、多少強引な手でも無理な条件ででも引き離さないと駄目だって」
初めて明かされる洸の話に、清流は信じられない気持ちで聞いていた。
それではまるで自分のためだと言われているようで、勘違いしないよう必死にブレーキをかけていた気持ちが動き出してしまう。
利用しているのはお前も同じだろって言ったこと、後悔してる。あんな言い方で提案されて、前のこと思い出して嫌な思いさせたよな。だから、軽蔑されるならむしろ俺の方だ」
複雑そうな表情を浮かべる洸の手から、力が失われる。
自分に触れていた指が離れていき距離ができそうになって、清流は慌てて洸の手を掴んだ。
確かにあのときはめちゃくちゃな話だと思った。
でも、あのとき断る手段があったのにそうはしなかった。その理由はもう自分では分かっている。
「…あの、一つ聞いてもいいですか?」
「いいよ、なに?」
「なんで、私だったんですか?」
清流の問いかけに、少し虚をつかれたように目を見開いた。
「日本に戻った後も、気になってた。あの後も変なところへ一人でふらふらしてないかとか、無事日本に帰れたかとか…ちゃんと笑えてるかとか」
「…わ、笑えてる?」
「清流は自覚がなかっただろうけど、俺といる間ずっとどこか浮かないような、何か諦めてるような顔してた。それで、あの料亭の中庭で清流を見かけたときまったく同じ顔してたから…無性に腹が立った。
それで、一緒にいた叔母さんに声かけて話して……この人と環境のせいなんだろうなと思った。だから、多少強引な手でも無理な条件ででも引き離さないと駄目だって」
初めて明かされる洸の話に、清流は信じられない気持ちで聞いていた。
それではまるで自分のためだと言われているようで、勘違いしないよう必死にブレーキをかけていた気持ちが動き出してしまう。