それらすべてが愛になる
清流自身が、洸を好きだと初めて自覚した日。
微睡の中で洸に抱き上げられて、そのあと子どもの頃の幸せな夢を見た。
そのときにぼんやりと聞こえたのだ。
『……三度目は、ないからな』
あのときは、意図して狸寝入りをしていたわけではなかった。
アルコールの酔いと夢なのか現実なのか分かってなかったせいで、自分の都合のいい夢だったのではないかと思っていた。
けれど今振り向いた洸の驚いた表情を見て、そうではなく現実のことだったのだと分かった。
「……自分が何言ってるか分かってんのか?」
洸は上体を起こすと、清流を上から見下ろす体勢になる。
「これでも、絶対すぐに手を出すようなことはしないって決めてたつもりだったんだけど」
「だったら…どうして、」
どうして部屋に誘ってくれたんですか、と明け透けに聞くのは躊躇われて口ごもると、清流の言いたいことを理解した洸が息をついた。
「またいなくなるとかそう思ったわけじゃないけど…今日だけは別々じゃなくて、清流には隣りにいてほしかった。
正直にいえば、好きな女が隣りにいて何も感じないほどできてないし、そういう欲はある。今すぐにでも清流の全部が欲しい。けどそれと同じくらい大事にしたいとも思ってる。矛盾してるし、支離滅裂なこと言っているって分かってるけど。
だから、清流に無理させたいわけじゃない。
これから一緒にいる時間はいくらでもあるわけだし」
「……矛盾してるのは、私も同じです。ずっとあれこれ考えていたから、部屋に入って洸さんが寝てるのが見えて、最初はほっとしたんです。
なのに急に寂しくなって、少しでもくっつきたくなりました。
すべてを見られるのは怖いのに、それでももっと近づいてほしいって思うんです」
一思いに言い切ると、洸の顔が今まで見たことのないくらい赤くしたまま固まっていて、あぁもう…と言いながらぐしゃりと片手で頭を抱えるようにした。
それを見て、清流は自分がとんでもない発言をしたような気がして、ばっと顔を背けて両手で顔を覆う。自分でも分かるくらいに顔が熱い。
泣きそうだった。でも全部本当の気持ちだった。
もう洸の前では、何ひとつ偽りたくなかった。
「……俺の前以外で、そういう顔したり言ったりするなよ?頼むから」
そう言って洸の顔が近づき、額同士がこつんと合わさった。
「俺は保護者じゃないぞ」
「……分かってます」
それから洸の唇が清流の閉じた目蓋をなぞると、額に、髪に、キスが降ってきた。
微睡の中で洸に抱き上げられて、そのあと子どもの頃の幸せな夢を見た。
そのときにぼんやりと聞こえたのだ。
『……三度目は、ないからな』
あのときは、意図して狸寝入りをしていたわけではなかった。
アルコールの酔いと夢なのか現実なのか分かってなかったせいで、自分の都合のいい夢だったのではないかと思っていた。
けれど今振り向いた洸の驚いた表情を見て、そうではなく現実のことだったのだと分かった。
「……自分が何言ってるか分かってんのか?」
洸は上体を起こすと、清流を上から見下ろす体勢になる。
「これでも、絶対すぐに手を出すようなことはしないって決めてたつもりだったんだけど」
「だったら…どうして、」
どうして部屋に誘ってくれたんですか、と明け透けに聞くのは躊躇われて口ごもると、清流の言いたいことを理解した洸が息をついた。
「またいなくなるとかそう思ったわけじゃないけど…今日だけは別々じゃなくて、清流には隣りにいてほしかった。
正直にいえば、好きな女が隣りにいて何も感じないほどできてないし、そういう欲はある。今すぐにでも清流の全部が欲しい。けどそれと同じくらい大事にしたいとも思ってる。矛盾してるし、支離滅裂なこと言っているって分かってるけど。
だから、清流に無理させたいわけじゃない。
これから一緒にいる時間はいくらでもあるわけだし」
「……矛盾してるのは、私も同じです。ずっとあれこれ考えていたから、部屋に入って洸さんが寝てるのが見えて、最初はほっとしたんです。
なのに急に寂しくなって、少しでもくっつきたくなりました。
すべてを見られるのは怖いのに、それでももっと近づいてほしいって思うんです」
一思いに言い切ると、洸の顔が今まで見たことのないくらい赤くしたまま固まっていて、あぁもう…と言いながらぐしゃりと片手で頭を抱えるようにした。
それを見て、清流は自分がとんでもない発言をしたような気がして、ばっと顔を背けて両手で顔を覆う。自分でも分かるくらいに顔が熱い。
泣きそうだった。でも全部本当の気持ちだった。
もう洸の前では、何ひとつ偽りたくなかった。
「……俺の前以外で、そういう顔したり言ったりするなよ?頼むから」
そう言って洸の顔が近づき、額同士がこつんと合わさった。
「俺は保護者じゃないぞ」
「……分かってます」
それから洸の唇が清流の閉じた目蓋をなぞると、額に、髪に、キスが降ってきた。