それらすべてが愛になる
 「改めまして、加賀城駿(かがしろはやお)です」

 ラウンジで正面に座った駿から名刺を受け取って、清流は目を丸くした。

 『維城商事 代表取締役社長』とある。
 洸の父親なのだから当然の肩書きなのだが、居酒屋で話をした男性が洸の父親であり働いていた会社の社長だったという事実に呆然としながら、先ほど覚えた違和感の正体が分かった気がした。

 (…何で気がつかなかったんだろう)

 眼鏡をかけていない駿の顔を見て、その顔に見覚えがある気がしたのだけれど、それは一度会社のサイトで見た維城商事の社長その人だったのだ。

 「あの、知らなかったとはいえその節は大変失礼しました…」

 「いやいや、眼鏡をかけると眼鏡の印象が強くなって、意外と身元がばれなくてね。一人でふらりと飲みたいときはそうすることにしているんだ」

 「なんでそんな芸能人みたいなことしてんだよ…っていうか居酒屋で社員ナンパするとか何考えてんだ」

 コーヒーに口を付けながら得意げに話す駿に、洸は呆れたように言う。

 「だからナンパじゃないと何回説明すれば…清流さんからも言ってやってくれませんか?」

 「気安く名前を呼ぶな」

 「まぁまぁ、ということは意外なところでも縁があったってことじゃないの?それって素敵なことじゃない!」

 はたしてどちら側につくべきか、間に挟まれておろおろしていると、洸の母のマドカが助け舟を出してくれた。


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