それらすべてが愛になる
 「何を作ってる?」

 「オムライスです。冷蔵庫の中身で作れそうなのがこれくらいしか思いつかなかったので…あ、でもちょうどよかったです。加賀城さんどっち派ですか?」

 「どっち派?」

 「ごはんを卵で包むタイプか、ふわとろタイプかです」

 「……ふわとろ」

 「了解です」

 コンロの火をつけて、先ほどと同じようにバター、残りの卵液を入れて半熟になるまでかき混ぜる。フライパンの奥側に向かって卵を包んでひっくり返して、中に火が通り切る前に形を手早く調整していく。

 「…上手いな」

 「慣れれば簡単ですよ、ごはんを巻かなくていい分やりやすいですし。でもフライ返しが見当たらなかったので少し形がいびつですけど」

 「フライ返し?」

 「フライパンで炒めたり裏返したりするときに使うやつです」

 「あぁ、お好み焼きで使うやつか?前に部署のメンバーに連れて行かれて使ったことがあるけど、家にはないな」

 「それはたぶんヘラですね」

 何が違うんだと言いたげな洸をよそに、清流はあまり火が入りすぎないタイミングでフライパンを下ろすとケチャップライスの上に乗せる。

 包丁で真ん中から切れ目を入れると、半熟卵がとろりと広がった。

 「すごいな、店で出せるんじゃないか?」

 「おっしゃる通り、出してたんですけど」

 カフェのバイト時代に数えきれないくらい作ったので、清流にとってはあまり難しい料理ではない。

 ただいつも洸には驚かさせてばかりなので、逆に驚いた顔を見るのは新鮮で、思わず笑いが込み上げた。

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