それらすべてが愛になる
 先に作っておいたもう一皿を一緒にダイニングへと運ぶ。

 その間に洸がお茶を用意してくれて、二人同時に向かい合わせで座るといただきます、と手を合わせた。

 洸がスプーンを口に運ぶのを、清流はさりげなく見守る。味は大丈夫だろうか。

 「うん、すげえ美味い」

 「本当ですか?よかったです」

 美味いという感想にほっとする。
 バイト時代は、こうやってお客さんの反応を見るのが好きだったなと思い出す。

 自分が作ったものの感想や反応が返ってくるとやっぱり嬉しい。

 「あんなに短時間で作れるものなんだな」

 「そうですね、オムライスはカフェでも人気メニューで頻繁にオーダーが入ってたので、自然と作れるようになってました」

 「へぇ、、この卵の感じも好き」

 不意に飛び出した好き、という言葉にドキリとする。
 それがオムライスのことを言っているのだと分かっていても何だか心臓に悪くて、どういう顔をすればいいのか困ってしまう。

 「ん、何?」

 「いえ何でも…加賀城さんは自炊とかしないんですか?」

 少し熱を持った顔を悟られないように、さりげなく話題を変える。

 「自炊か。前に火災報知器鳴らしてからほぼしてないな」

 「えっ、何か焦がしたんですか?」

 「普通にカレーを作ろうとしてただけだけど」

 どうすればそんなことになるのだろう。

 そのときはマンションでちょっとした騒ぎになったらしく、それ以来外食で済ませてしまうことが増えたらしい。どおりでキッチンが綺麗なはずだと納得する。

 「あ、でも一昨日は卵を茹でた。でも何でか中の黄身が全部外に飛び出てたんだよな」

 「……そうですか」

 ここまで聞いた話だと、洸と料理の相性は壊滅的に悪そうだなと思う。

 首をひねる洸が心配になりつつ、清流はスプーンをもくもくと動かした。

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