それらすべてが愛になる
 夕飯を食べ終えた後、洗い物を済ませてからお風呂に入った。

 このマンションは全館空調のようで、洗面所でも廊下でもどこにいても暖かい。

 お風呂上がりだと半袖でちょうどいいくらいだなと思い、清流は荷物として送っていたフレンチスリーブにショートパンツという、夏用のルームウェアを出して着ることにした。

 洗面所から出ると、リビングの電気がついていることに気づく。

 (まだリビングにいるのかな?)

 もし洸が自室に戻っているようならこのまま部屋へ戻ろうと思っていたけれど、リビングにいるなら声をかけた方がいいように思えた。

 それにお風呂上がりで喉も渇いている。
 ついでにお茶も貰ってこようと、そっとリビングドアを開けた。

 洸はソファーで本を読んでいるところで、ドアの開く音に反応して顔を上げたところで目が合う。

 「…………」

 「あ、あの?」

 黙ったままの洸を不思議に思い、清流は首を傾げる。

 「……どうした?」

 「えっと、先に休ませてもらおうと思いまして。で、その前に喉が渇いたのでお茶を貰ってもいいですか?」

 珍しくぼぅっとした洸の様子に清流は不思議に思う。

 でも今日は在宅とはいえ休日に仕事、しかで予定より時間が長引いていた。おまけに自分という同居人が引っ越してきて、洸自身も疲れているのかもしれない。

 「あぁ、いちいち許可取らなくても好きに使っていい…っつーか、」

 手短に要件を伝えると再び洸の言葉が途切れて、清流はどうしたのだろう、と続きを待った。

 「それ、寒くないのか?」

 「え?あ、部屋着ですか?寒いどころかここの部屋どこもあったかくて、それにお風呂上がりだからむしろ暑いくらいで」

 「あぁそう、」

 それだけを言うと、洸はまた目線を本に戻した。

 (ああそうって、自分から聞いたのに)

 それっきり興味を失ったかのような態度に不満に思うも、清流は顔には出さずにキッチンへと向かった。

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