ChristmasLight*
あたしの渡したポケットティッシュを有り難げに受け取ると、少年はぐしぐしと鼻をかむ。
「だ、大丈夫?」
「ハイ……有り難うございます」
助かりました、と、頭の色に似合わずきちんとした言葉遣い。
てっきり今時のヤンキー紛いかと思ったんだけど。
ちょっと興味が出て、あたしは当たり障りない事を訊ねてみる。
「誰か…待ってるの?」
「えぇ……まぁ」
微妙に苦笑して、少年は使用済みティッシュを自分のポケットに入れた。
こうして見てみれば、顔立ちと髪色は合っている様に思える。
鋭さのある切れ長の目に、通った鼻筋はなかなか恰好良い。
多少無愛想な所を踏まえるとやはりヤンキーの様なルックスだけど……
それでも天使の様に感じてしまうのは何故だろう。
(……オーラかしら)
「お姉サンは」
ふと、少年が口を開く。
「大丈夫、ですか?」
目を見て言われた。
顔立ち的に彼の方が年下だと思うけど、こう立って並ぶと少し少年の方が背がある。
「大丈夫、って?」
曖昧に笑って返すと、少年は今度は目を逸らし、言いづらそうに添えた。
「別れた、みたいだから」