あなたは一体誰?
──数ヶ月後。

私はダイニングテーブルに朝食を並べながらテレビのワイドショーを見ていた。

『……海岸にて……男女不明の遺体が二体浮か……調べたところ海底…赤い車が……身分の特定に繋がる所持品なし……警察によると……ハンドル操作を誤ったか……無理心中……可能性で捜査……」

(あら……ついに見つかったのね)

リビングの扉が開くとあくびをしながら孝明が部屋に入ってくる。

「美里おはよう」

「孝明さんおはよう。孝明さんの好きな目玉焼きに、胡瓜とハムのサンドイッチよ」

「うまそ、いただきます!」

「どうそ召し上がれ」

私は目の前の孝明に微笑んだ。

「美里、今日はせっかくの休みだから、美里の行きたいところに行こうか」

「じゃあ映画のあと、駅前のパンケーキ食べたいな。ハチミツたっぷりのやつ」

「いいね、そうしよう」

私は孝明との穏やかなこの暮らしに満足している。

(もし遺体の身元がわかって警察がここにきても大丈夫……だって本人はちゃんとここにいるんだもの)

(ただ唯一、《《髪の毛が伸びないこと》》さえ気づかれなければね)


そう──私が孝明がニセモノだと気づいたのは髪の毛だ。
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