エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
「あ……、この近くには美術館もあります」
「シカゴ美術館だな。良いらしいけど行ったことはないから、ぜひ行ってみたい。よし、美術館に行こう」
 取りあえず近くにあるから提案しただけなのに、あっさり行こうと言われて莉桜は焦ってしまった。

「いいんですか? 五十里さんが行きたいところはないです?」
「シカゴ美術館も行ってみたかったよ。機会がないと行かないだろう。見どころがたくさんあるらしいからな。楽しみだよ」
 五十里に後ろからハグされていて、莉桜はどきどきしてしまう。

 気づいたら視線が絡んでいた。
 意志の強そうな眉や、その下の輝く瞳、仕事の時はバックにまとめている髪もオフの時はふわりと自然になっていていつ見ても端正のかたまりみたいな人だ。
 その顔が近づいていた。

「あ……」
 莉桜が戸惑っている間にふっと唇が触れる。一瞬柔らかく触れた唇は、何度も角度を変えて重ねられた。鼓動が大きくなり、顔も身体すらも熱くなってくる。優しく舌が唇にふれて莉桜がそっと唇を開くと、舌が口の中を探るように絡められる。

 熱くて、とろけそうなキスだった。
「五十里……さ、ん」
「とろけている顔、可愛いな」
< 92 / 131 >

この作品をシェア

pagetop