嘘も愛して




「こいつらがやったのか」


「え……っと、私もよく分かってなくて」


 言いつつ、チラッと茂みを横目で確認したが、もう人影の気配はなくなっていた。



「まぁいい。いるみに診てもらうぞ」


「あの」


 言いかけて、口をつぐむ。

 足痛くて立てもしないなんて、言えない。


 さっき意地で無理やり動かした代償に、今更情けなくて自分に嫌気がさす。


 そんなかっこ悪いところを一番なめられたくない相手に見られるなんて。



「立てないのか」

「っ……」


 尻もちをついて動かない私を見て、空周は眉をひそめた。


 その通り。だけど動けないなんて言いたくない。


「助けてくれてありがとう。でももう大丈夫。一人で……」


 立てる、そこまで、言おうとした。のに――。



 気がついたら、透き通った栗色の瞳が間近に迫っていて、目を奪われてしまう。


 何事!?と驚いている隙に肩を抱かれ、私は更に言葉を失い、硬直してる間に、今度は脚裏に手を回されていた。



 まってまって――、まって!




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