嘘も愛して



「仁彩。こいつは俺が引き抜いたんだ」

 答えたのは王様だった。ムッとする私の目の前で、家来が声を荒らげる。


「空周……こんな奴信用できないですよ!」

 後ろ姿で表情は見えないけど、きっと私と同じ不満な顔つきをしているのだろう。そんな私たちを一様に見下ろし、王様はぴしりと言い放つ。


「あ?俺が決めたことに文句つける気か?俺なりの考えがあるとも考えず、頭ごなしに否定しやがって」

「あぅ……そそんなつもりは……僕はただ心配で……」

 意見するのにすぐ引き下がるんだからいるみさんは。

「こいつはクソザコ皇帝のやり口に不満があって俺の話に乗ったんだ」

「あはは!いや、興味はあったんだよ、迷いがない己の覇道をいくそんな御織について行きてぇなって!」


 清々しいほど淀みのない言葉一つ一つに、息を呑むいるみさん、目を輝かせる研真、否定も肯定もしない百道くん。納得がいった私の目を一通り見回し、空周は高らかに宣言するように言い放つ。



「俺らはチームを正式に作ってなかった。が、仁彩の件で喧嘩を売られた以上、徹底的にぶち潰すために、俺は今ここに、新しい時代を作る〝新世代〟を結成する」



「「!!」」


 誰もが息を呑んだ。誰の耳にも冗談を言ってるように聞こえず、確かなものだと確信を悟られるほど、その言葉は力強く、意味をもっていた。唖然とするギャラリー。驚嘆するメンバー。私は、何故か高揚していた。



< 45 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop