嘘も愛して
〝新世代〟が立ち上がった次の日のお昼休み。私は一人、中庭がよく見える屋上でカフェオレを飲んでいた。今日はやけに静まり返っていて、穏やかな空気が流れていた。
日差しが少強くなってきて、直射すると暑い。私は日陰で腰を下ろし、目を瞑った。
空気が美味しい。深く息を吸い込み、吐いたその時だった。ザッ……と足音が近くでし、瞼を開けた時にはもう、声が降ってきていた。
「あ。いた。筆頭の女」
この無愛想な声は間違いなく。顔を上げるとそこには、黒いフードをかぶった少年が、逆光で顔色が見えなくとも、猫目の瞳がぎらりと光り見下ろしていた。
一応同じチームの仲間だけど、この生意気でいけ好かない男から私はすぐ目を逸らした。
「誰かの女じゃないんでどっか行って、しっしっ」
「悪かったよ、名前教えて。俺は百道、新世代に入る時、あんたいただろ?」
ススッと日陰に入ってきた百道くんは、膝を抱えて私の真横に座り込んだ。研真とは違った可愛さをもっていて、それが私は気にくわなかった。世渡り上手といえばそうだけど、いいように利用されるのは嫌。私は変わらず警戒したまま、彼の目を見つめる。
「……保泉。うん、君のことは知ってるよ。それで、何の用?」
「あんたの立ち位置って何?女じゃないんだったら尚更意味わかんね」
やっぱり生意気。肘を膝に乗せ、頬ずえをついて私の顔を覗き込んでくる年下男子に、私は眉をひそめた。
「……他のメンバーと変わらないけど」
「喧嘩できんの?」
はぁ。ため息が出る。本人に悪気はないのがまた。
「なるほど。君は私のことを女としてしか見てないんだね」
「見てないってか、見れないでしょ。女に変わりないし」