嘘も愛して
「あんたは悪くない。ただ、あのクソクズ野郎は仁彩、あんたに相当執着してる。
逃げ続けて淡々と息するだけの腑抜けに、俺は興味ない。
俺と初めて会った時の威勢はどこにいった、あんたはこの程度じゃねぇだろ」
顎を掴まれ、顔を背けることを阻止され、私は視線だけ泳がせる。
「……これは、私の問題」
「お嬢さん……」
研真の弱々しい声。顎を掴む手を払いのけ、私は研真に顔を向け、また背中をさすった。
「みんなに負担をかけるかもしれない、でも、役に立つんだったら私、全部話すよ。あの人と昔何があったか」
「負担なんて思わないよ。僕はお嬢さんの全部知りたい」
私の手を取り、潤んだ瞳で真剣に答える研真。
こんなに、私のことを思っていてくれていたことに、正直驚いている。私も真っ直ぐ見返し、気持ちを受け取る。
「チッ…愛語ってんじゃねぇよ、きしょい」
その様子に舌打ちでばっさり切り捨てる空周。
「えー!そういうことじゃん。王子だって知りたいから話せ話せって言ってるのにー?」
「俺のために役に立てって言ってんだよ」