嘘も愛して
「そうですよ、空周がこんな小娘のために身を削るわけないじゃないですか」
バタバタと足音をたて、また人数が増える。
「いるみ、遅せぇぞ」
「すみません、お二人を連れ出すのに手間取りまして」
「うーっす!集会か?」
「だる……急に呼び出しとか」
王様の後ろに、いるみさん、音海さん、百道くんが並ぶ。新世代のメンバー、全員が集った。
「なに、あんた泣いてるの」
え。
私の瞳には涙の一粒だって浮かんでいないというのに。
そこで漸く、自分が今にも泣きそうな顔をしているように、みんなには見えていることに気がつく。かっこ悪いなぁ……。
「……年下に心配させちゃうなんて、だめだね、私」
苦笑まじりにそうぼやく。
「浸ってる暇ねぇぞ。俺たちはクソザコ野郎を完膚なきまでに叩きのめす。それはただ喧嘩に勝つだけじゃねぇ……んな生ぬるいもので終わるつもりはないからな」
私の正面で不敵な笑みを浮かべる空周の目は、笑っていなかった。
今にも人を殺めてしまいそうなほど、残酷だった。私はおそるおそる問う。
「というと?」
「決まってるだろ」
迷わず、言い放つ。
「精神的にも二度と刃向かえないよう潰す」
目の前に魔王がいるのではないかと錯覚するほど、空周は冷徹に恐ろしいことをさらりと言った。