嘘も愛して
嫌な記憶に呑まれ、苦い表情を浮かべる。
「きめぇ……」
呼応するように、空周が呟く。まるで私の気持ちをそのまま口にしたかのような、一言だった。
「その一件以来、私は司堂楽との繋がりを全て切りました。
それから彼の嫌がらせはヒートアップしていきましたね。
噂を流し、私はこの学校から存在を認められない者として煙たがられるように。
でも、ここで私が何かアクションを起こせば向こうの思う壷だと、ムキになったんです」
今までずっと無視してきたのに、今日は言い返してしまったけど。
「そこからずっと帰り尾行されてんのか」
あ……。空周が一気に場の空気をざわつかせる一言を、素っ頓狂な顔で言ってのける。
「つけられてるってこと?」
「トップに立つ男が女々しすぎんだろ。抜けてよかったー」
研真、音海さんが呆れ返る。遅れて、百道くんが私に問いかける。
「戻らないのは他に女がいたから?」
嫌なところをついてくる。
「……」
何も答えずに百道くんの猫目を眺める。答えないといけないかな……と考えていると、きつい言葉が飛んでくる。
「あの野郎に捨てられたってわけか、くだらねぇ」
空周……、君は間違ってないし思ったことを素直に口にしているのだけど、本当にデリカシーがないんだから。