〜Midnight Eden Sequel〜【Blue Hour】
『教え子に犯さなくてもいい罪を背負わせ、殺人という罪から逃れようとしたあなたを俺は許さない。画商やコレクターは騙せても、警察と司法は騙せませんよ』
九条の糾弾も宮越には響かない。その後に続いた20年前の女性連続殺人の聴取でも、宮越の言葉に罪悪の感情は欠片も感じなかった。
1999年10月。永遠のファム・ファタールであるサキ子の面影を追い求める宮越は、街でサキ子に似た女性に声をかけた。
ドラゴンフライの最初の被害者、長谷部法子《はせべ のりこ》だ。
若い頃の宮越は、俗に言うハンサムの類いの顔立ちをしていた。彼に絵のモデルを頼まれた女達はモデルの依頼を二つ返事で引き受けた。
甘い蜜を滴る花に吸い寄せられる蝶の如《ごと》く、宮越のアトリエには女が集まる。そうして招かれた長谷部法子をキャンバスに描いた宮越は、その日のうちに法子を殺害、彼女の身体をバラバラに切断した。
以降に繰り返される女性連続殺人の動機はふたつあった。
ひとつは絵のモデルを殺して、“宮越晃成の絵”こそがたったひとつのオリジナルに成り代わるため。女性画のモデル(オリジナル)がいなくなれば、絵が永遠のオリジナルとなる。
もうひとつは、決して自分に振り向いてはくれなかった義理の姉、サキ子に募らせた鬱屈とした愛憎だ。
スペインから帰国後に女性画を封じて風景画に転身した理由と連続殺人を止めた理由について、宮越は多くを語らない。
結局、日本にもスペインにも宮越だけのサキ子はどこにも居なかった……。そういうことかもしれない。
九条の糾弾も宮越には響かない。その後に続いた20年前の女性連続殺人の聴取でも、宮越の言葉に罪悪の感情は欠片も感じなかった。
1999年10月。永遠のファム・ファタールであるサキ子の面影を追い求める宮越は、街でサキ子に似た女性に声をかけた。
ドラゴンフライの最初の被害者、長谷部法子《はせべ のりこ》だ。
若い頃の宮越は、俗に言うハンサムの類いの顔立ちをしていた。彼に絵のモデルを頼まれた女達はモデルの依頼を二つ返事で引き受けた。
甘い蜜を滴る花に吸い寄せられる蝶の如《ごと》く、宮越のアトリエには女が集まる。そうして招かれた長谷部法子をキャンバスに描いた宮越は、その日のうちに法子を殺害、彼女の身体をバラバラに切断した。
以降に繰り返される女性連続殺人の動機はふたつあった。
ひとつは絵のモデルを殺して、“宮越晃成の絵”こそがたったひとつのオリジナルに成り代わるため。女性画のモデル(オリジナル)がいなくなれば、絵が永遠のオリジナルとなる。
もうひとつは、決して自分に振り向いてはくれなかった義理の姉、サキ子に募らせた鬱屈とした愛憎だ。
スペインから帰国後に女性画を封じて風景画に転身した理由と連続殺人を止めた理由について、宮越は多くを語らない。
結局、日本にもスペインにも宮越だけのサキ子はどこにも居なかった……。そういうことかもしれない。