ハイスペ上司の好きなひと


後から来たのは国内営業部の課長代理である一ノ瀬という男で、彼はなんとも親しげに声をかけていた。


ーー飛鳥…?


彼の発した名前に、身体が硬直した。


「課長代理とかやめろよ。お前に言われるとなんかむず痒い」
「なら一ノ瀬さんで。お元気でしたか」
「元気元気!お前はまた男前が増したなあ〜羨ましいぜまったく!」
「いえそんな」


親しげに話す男性に挟まれ、居心地の悪さを感じていると一ノ瀬が自分に目をやり「そうだった」と思い出したように言った。


「古賀ちゃんごめんな?つい話し込んじまった」
「あ、大丈夫です…えっと、一ノ瀬課長代理、この方は…」
「ああ、こいつが飛鳥だよ。藤宮の後任の」


言われて目を向ければ、感情の読めない視線とかちあった。

途端にカッと顔に熱が集中し、改めて腰を直角に曲げた。


「あああの!早速失礼をすみません!今日から下に着かせていただきます、古賀です!」
「ああ、君が古賀さんか。電話では何度か話したな」


顔を上げてくれと言われ言われた通りにすれば、改めて自己紹介をされた。



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