ハイスペ上司の好きなひと
「誰がどう見ても美人の私を差し置いて佐倉くんに選ばれたんだから、そういう事でしょ」
「…ねえもしかして真由菜さ、もしかして奏斗の事まだ好きだったりする?」
てっきり鼻で笑われながらそんな訳ないでしょと返ってくると思ったのだが、予想に反して真由菜からは無視が返ってきた。
「えっと…そういう事なら連絡してみようか?まだアドレスは残ってるし」
「るっさい!情けをかけるな情けを!虚しくなるわ!」
「いたたたた!」
なんて事だ。
あれだけハイスペックがどうのこうのと言っていたのは、結局のところ真由菜も昔の恋が忘れられないだけの話だったというわけか。
どうりで彼女ほどのスペックを持ちながら誰ともマッチングしないわけだ。
あの高飛車な真由菜にそんな可愛らしい一面があったのかと思うと見え方が変わってくるのだから驚きだ。
「あのさ真由菜…お節介かもしれないけど、今奏斗彼女居ないみたいだよ…?」
「…なんでそんな事知ってんのよ」
「SNSで彼女と別れたって最近書き込んでたから」
「……」
黙り込む真由菜を見て、持ってきた小さい方の鞄を掴んで立ち上がった。
「私、お酒でも買ってくるよ」