ハイスペ上司の好きなひと
店内である事を忘れて大声を上げてしまい、突き刺さる視線に小さくなりながら咄嗟にその場にしゃがみ込んで小声で電話口に怒鳴った。
「ち、ちょっと待ってよ!なんでうちに?」
『だって都内のホテルなんて高いじゃない。どうせ紫とほぼ行動同じになるんだから一晩…いや二晩くらいいいでしょ』
「しれっと泊数増やさないでよ!第一、うちに大の大人3人も寝るスペースなんか無いよ!」
『大丈夫よぉ。お父さんは蒼慈の所行くって言ってるから』
「えええ…」
こちらの預かり知らぬところで勝手に決められていく内容には最早言葉が出ない。
次兄の事など心底どうでもいいが、問題はこっちだ。
自宅は非常にまずい。
今実質あの家は空き家て、不要な家具も全て売り払ってしまった状態だ。
電気もガスも、水道も止めてある。
サーッと血の気が引いているうちに母がひと言二言何かを言って電話は切られた。
これはまずいとスマホの検索画面を開き、最短で入居可能な物件を必死に探した。
幸い次の給料で貯金を切り崩せば引越しできる程には資金は貯まる。
この際考えていた条件は多少満たせずとも、なるべく早く入れるところを探そう。