ハイスペ上司の好きなひと


すっかり物寂しくなった家で運んでもらうものを書き出してそこは早々に切り上げた。

ベランダから乗り込まれそうになった事が軽くトラウマになっているので、部屋を見るだけで背筋が冷たくなるのは避けられなかった。

あとは飛鳥の家に持ち込んでいる細々としたものをどう運ぶかだ。

そうして居候先に戻れば、いつもと同じなんとも言えないラフな格好をした飛鳥が玄関先までやってきた。


「古賀、帰ったか」
「飛鳥さん、今朝はバタバタしてしまってすみません。先程お伝えしましたが今日見に行った物件に決めてきました」
「…そうか」


靴を脱いで揃えながら言えば、飛鳥の静かな声が返ってくる。


「さっき業者に見積もりの連絡をしたんですけど…今はちょうど現場が立て込んでいないそうなので、この際連休中に引っ越ししてしまおうかと思ってます」
「性急だな」
「そうですね…。でも5月も中旬になればこの間言っていた新人も入って何かとバタバタするでしょうし、休みの間に片付けられるならその方が良いかと思って」


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