ハイスペ上司の好きなひと



その後1週間と少し、日々仕事と家事、荷物のまとめなど諸々に追われているうちに連休へ入った。

同時に断捨離も進めていたので思っていたより少なくまとまった荷物は飛鳥がレンタカーで借りたミニバンに収まる程度で事足りた。

当初の予定通り洗濯機やベッドフレームなどの大型の家具だけ搬入を依頼し、先んじて紫は飛鳥の運転する車に荷物を載せて半年間お世話になった家を後にした。


「本当に大掃除しなくてよかったんですか?」


助手席で揺られながら、紫は運転席の飛鳥に声をかけた。

使わせてもらっていた部屋をしっかりと掃除出来なかった事が心残りなのだが、家主である当の本人はどこ吹く風といった様子なので余計に戸惑う。


「どうせ空き部屋になるだけだから大丈夫だ。それに掃除機と水拭きはしてくれたろ?」
「そうですけど…」


もちろんクローゼットの中まで念入りに掃除はしたつもりだが、半年も居座っていたのだから何かしらの痕跡が残っていてもおかしくない。

その辺りは気にならないのだろうか。

けれど大丈夫だと言っているのにしつこく言うのもどうかと思ってそれ以上は口を噤んだ。



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