ハイスペ上司の好きなひと


ぼんやりと流れる景色を眺めていると、不意に飛鳥が声をかけてきた。


「引越し業者が来るのは15時だったか」
「はい。それまでには前の家に行かないといけないのでまあまあ焦ってます」
「1人で大丈夫か?」
「荷物の指示出すだけなので大丈夫ですよ」


流石に退去手続や大家さんへの挨拶を誰かに任せる訳にはいかないので自分が赴くが、その代わりに荷物の受け取りを飛鳥へお願いした。

こういう時に手伝ってくれる人が居ると早く片付いて助かるなと思う。

家族でも恋人でもない、ただの上司というのはおかしな話だが。


そんな話をしているうちに新居に到着し、不動産屋から渡されていた鍵で先に運べるだけ荷物を運び入れた。

飛鳥は近くのパーキングに車を停めてから行くと言って去っていった。

大型の家具が入るまでに軽く掃除をしておきたかったので進めていると、間も無くして残りの荷物を持った飛鳥が到着した。

飛鳥の家よりは格段に狭いが前の家よりは確実に環境の良い家に飛鳥も一応文句は無いようで、最初にあれだけ言いがかりをつけていたのが嘘のように静かだった。

どうしたら良いか指示を出して欲しいと言うのでお願いしたいことを伝えながら、いつも会社でやっている事とまるで真逆だななんて思いつつ手を進めていった。


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