ハイスペ上司の好きなひと
ここ最近の慌ただしさですっかり失念していたが、今日が終われば本格的に自分達の関わりは会社だけになってしまう。
それも今後、藤宮が戻ってきたことによりどうなるか分からない。
事務メインのオールラウンダーとして採用されたので、手が足りないチームの下に置かれる事も十分にあり得る話だ。
そうなるともう、飛鳥と気軽に話せる関係すらなくなってしまう。
かといってこのまま目の前で飛鳥と藤宮の関係を見続けるのもなかなかに辛い話だ。
改めて飛鳥とどうなりたいのか自分に問いかけるが、それが分からない。
お付き合いをしたいのか、このまま側で眺め続けておきたいのか。
それはきっと、あまりにこの恋に希望が無いからだとも思っている。
彼女に向けられるような優しい視線を欲しいとは思ってしまう。
けれど彼の一途な気持ちを思えばこそ、そこから先は恐ろしい程に真っ暗なのだ。
ーー自分の事が1番分からないなんて、変な話。
静かな部屋の中でただひたすらに時間だけが過ぎていき、気付けば業者の来る時間が迫っていた。
そろそろこちらを出発せねばと飛鳥に声をかけようと思い探せば、彼は玄関先であるものを見つめていた。