ハイスペ上司の好きなひと



「早いな、古賀」


完全に不意打ちだったのであり得ないくらい心臓が跳ねたが、大袈裟にならないようそれを隠しながら顔を上げた。


「お、おはようございます。飛鳥さんこそいつもより早くないですか」
「休み明けは色々とゴタつくからな」


チラリと腕時計を覗く姿だけでも様になる。

ビル内には他の会社も入っており、顔も知らない女性達が隠しもせず彼に魅入ってる。

久しぶりに見るせいか、紫も漏れる事なくその端正な顔立ちについ見惚れてしまった。

改めて飛鳥のスペックの高さを意識せざるを得ない中、エレベーターが開けばどんどん人が入り込み隙間なく詰め込まれた。

意図せず密着してしまい、ふわりと香る飛鳥の品のいい匂いにクラクラと視界が揺れる。

今更何をこんなに意識しているのだと思うが、この休み期間の間ですっかりと耐性が落ちてしまったようで正直この先不安しか無い。

そんな中徐々にエレベーター内の人口密度が減り、隙間に余裕が生まれたところで軽く距離をとってホッと小さく息を吐いた。

目的の階に到着し、居た堪れなさから先に降りて廊下を進んでいると、静かな廊下に飛鳥が自分の苗字を呼ぶ声が響いた。


「昼の件、ちゃんと覚えてるか」
「え?も、勿論ですよ!というかお礼する側の私が忘れるわけないじゃないですか」
「ん、ならいい」


そう言いながら後ろにいた飛鳥が横に並び、新居はどうだと尋ねてきた。


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