ハイスペ上司の好きなひと


「他の皆さんも忙しいですし、私が1番手が空いているのでこのままやりきります」
「それは…」
「それに、研修もあと数週間ですから」


そうであって欲しいと願うが、こればかりはどうなるかわからない。

けれど余程疲れていたのだろう、次には心にもない言葉を発していた。


「彼女も飛鳥さんの下に付けば、やる気を出してくれるんでしょうけどね」


軽い口調で言ってはみたが、その可能性もゼロではない。

実際ここ最近、他のチームから仕事を頼まれる事も増えてきていて今の場所に居続けられる保証は無い。

となると、自分が他のチームに移って七瀬が飛鳥の下に入る事も十分にあり得る話だ。

まあそうなったらそうなったで別の問題が浮上しそうな気もするがと悶々としながら足を進めていると、飛鳥がそれほど間をおかず「それは困る」と断言した。


「どうしてです?彼女、愛嬌は超一流ですよ」


悔しいけれど七瀬は美人だ。

彼女ほど若く美しい女性に言い寄られれば、男ならば嬉しいものではないのだろうか。



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