ハイスペ上司の好きなひと



「好みじゃない」
「……」


予想外にキツい物言いに拍子抜けした。

まあ確かに、藤宮のような女性が好みならば七瀬は正反対とも言えるだろう。

誰に対しても親切で恐ろしい程に仕事ができる藤宮と、好き嫌いがハッキリしており要領よく仕事を選び分ける七瀬。

どちらも見方によっては大事な事だ。

けれど、七瀬ほどの女までもバッサリと切り捨てるほどに盲目的な愛ならば、いよいよ持って自分に勝ち目などゼロに等しい。


なんだか最近は疲れもあって心が麻痺してきた感じがする。

先程のチーム配置の件が現実となれば、或いはこの恋に終止符を打てるかもしれない。

そんな会話をしながら歩き進めているといつのまにか最寄駅に到着し、改札を抜けて飛鳥に向き直る。


「では私は此処で失礼しますね」


ぺこりと頭を下げてホームに向かおうとすれば、腕を引かれて思わず目を剥いた。


「えっ」
「…っ」


何故か腕を掴んでいるはずの飛鳥まで驚いた表情をしており、同じような表情のまましばし見つめ合う。



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