ハイスペ上司の好きなひと
「例えそうだとしても、君には全く関係のない話だ」
飛鳥の聞いた事無いほどに冷たい声色にゾッと背筋が冷えた。
けれど七瀬も負けてはおらず、最早意地なのだろう、「ひどいです」なんて泣きだす始末だ。
そして何をトチ狂ったのか、その後とんでもない言葉を発したのだ。
「どうして藤宮さんなんです?確かに美人だし優秀ですけど…結婚もしてるし正直もう子持ちのオバサンじゃないですか」
ーーーは?
ぷつりと、何かが切れる音がした。
どちらの琴線が触れた音だったのかは分からない。
ただ次の瞬間には、考えるよりも先にドアを強く押し、バンっ!と乱暴な音を立てながら部屋に乗り込んでいた。
「ああ、居たんですね。すみません」
驚いた表情を見せる2人ににこりと笑顔を作り、紫はその場の空気を割るようにズカズカと入って盆を机の上に置いた。
「七瀬さん」
思ったよりも低い声が出て視線を向ければ、彼女の表情が強張ったのが分かった。
「声が外まで全部漏れ聞こえてたよ。私、研修中から何度も言っだよね?公私混同もいい加減にしてって。ふざけるのはその仕事ぶりだけにしてくれない?」
「なっ…」