ハイスペ上司の好きなひと
「古賀さんも忙しいのにごめんね」
「いえ…」
頼ってもらえる事は光栄な事だ。
それに七瀬に発破を掛けて人員不足に追い込んだ負い目も正直あるので、秋山がそれを良しとしているなら自分はそれに従うまでだ。
その旨を角が立たないように伝えれば、その場の空気は少し和らいだように感じた。
その後は両チームの現状把握と擦り合わせが行われて落とし所を見出したところで解散となった。
軽口を叩きながら前を歩く秋山と藤宮の後に続いて部屋を出ようとすれば、なんとなく感じていた嫌な予感が当たった。
「古賀、少しいいか」
呼ばれる予感はしていた。
泣き顔を晒しておいてスルーしてもらえるとは思っていなかったから。
「はい…」
かと言って拒否する事も出来ず言われるがままにその場に残る。
「その…先週のことなんだが…」
聞きたがっている事はわかっている。
涙の理由だろう。
どう誤魔化せば良いんだろう。
だがどんなに考えても最善の答えは見つからず、ただ時間だけが無意味に過ぎていく。