ハイスペ上司の好きなひと
はあ…と深いため息を吐いてはみたが、本当にこれからどうしよう。
今の会社できちんとした給料を得てはいるが、引越しが出来るだけの余裕は今は無い。
友人に事情を話して泊まらせてもらうにしてもせいぜいできて数日。
何せその殆どが結婚していたり彼氏と同棲していたりするのだから。
「まあ今後改善する事を期待してもう少し我慢してみます。流石に警察沙汰まで起こる事はそうそう無いでしょうし」
「……」
希望は薄いが仕方がない。
最悪の場合、親に相談して少しだけ引っ越し費用を援助してもらおう。
前の会社のことでひどく心配をかけたし、この歳になって親に縋るのも恥ずかしいけれど、他にどうしようもない。
内心諦めにも近い落胆の感情を抱いていると、それまで黙り込んでいた飛鳥が言葉を発した。
「…古賀さん、これは1つの案として聞いて欲しいんだが」
「?はい」
遠くへ飛びかけていた意識を引き戻し、飛鳥の案に耳を傾ける。