ハイスペ上司の好きなひと
「なあ紫」
「なんですか?」
優しい言葉に同じくらい優しい声で返す。
飛鳥は頬に手を添えながら静かな言った。
「今の家の更新時期が来たら、解約してうちに来ないか」
「え…」
思わぬ提案に驚いて顔を離せば、飛鳥は至極真面目な顔で続けた。
「紫と一緒に住みたい。ダメか?」
「そんな事ありません。けど、それって…」
一瞬言い淀み、勇気を出して続けた。
「そんな先も、一緒に居てくれるって事ですか?」
その言葉に飛鳥は目を見開き、そして不満げに眉を寄せた。
「俺はこの先ずっと紫の側に居るつもりだが、紫は違うのか?」
「そ、そうじゃないんです。けど…」
「けど?」
優しいのに何処か圧を感じるそれに少しだけ身を引いてしまった。
「自信が、無くて」
ぽそりと言い、そして続ける。
「航輝さんはすごくカッコよくてモテるから、私みたいな平凡を絵に描いたような、ただ真面目な良い子ちゃんなんて飽きられちゃうかも、って…思って…」
「なんだそれ」
「私は真剣です!それに…会社には藤宮さんも居ますし…」