ハイスペ上司の好きなひと


「紫…」


言葉の先は続かなかった。

頭の奥が痺れて思うような言葉が浮かばず、それでもなお体は本能のままに紫を求めていた。

膝裏に手を忍ばせ片足だけを上げた状態で中に入り込めば、ゾクゾクとした快感が背を走る。


「あっ、航く、これっ…っぅ」


表情を見るに痛みは無いのだろう、必死に何かに耐える様に更なる情欲が掻き立てたれる。


「…痛いか?」
「ちがっ、…あっ!」


体が大きく跳ねたのを確認し、成る程とある事に思い至る。

要はイイトコロに当たるのだろう。

それが分かれば辞める理由は無い。

そのままの状態で幾度となく突き上げ、一層高い声を上げながら自分にしがみついてくる姿にゆっくりと心が満たされていく。


本当はただ触れているだけで十分幸せなのだ。

時折、いつもすました顔の紫がぐずぐずに自分に溺れていくのを見たくなるだけ。

それを世には劣情と言うのだろうが、こちらから言わせればこれを愛と呼ばずして何と呼ぶ。

自分の体に力無くもたれかかる紫とは対照的に、まだ足りないと体と心が紫を欲している。

そのままワンルームの端に置かれた自宅のものより小さなベッドに全身を預け、紫の細い腰を掴みながら何度も体を揺らした。



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