ハイスペ上司の好きなひと

「遅くなってごめんな、紫」

「ううん。大事な接待だったんでしょう?遅くまでお疲れ様」


そう言い、紫は航輝を抱き締めた。接待帰りの航輝はスーツ姿のままで、真っ直ぐにこの家に来てくれたと知り嬉しくなる。

抱きつかれた航輝も紫の背に手を回し、しばしの抱擁を堪能する。


「進捗はどうだ?」

「ほとんど終わったよ。今日使うものを明日の朝纏めたらおしまいかな」

「そうか」


優しい声とは裏腹に、航輝の腕に少し力が入った。


「…ようやくだな…」


え?と紫が顔を上げると同時、航輝の顔が降り唇が重なる。すぐに舌が絡み合い、頭の芯が痺れるような快感に溺れる。つう…と口の端から唾液が漏れ落ちた頃、それはようやく離された。


「やっと紫と一緒にいられる。…すげえ長かった」


再びぎゅっと抱き締められながら言われ、すっかり溶かされた紫は力無く航輝の袖口を掴んだ。


「…会社もおんなじなのに?」

「同じっつっても紫は正式に秋山さんのチームに移動になったから、前みたいに近くにいないだろ」

「週末はよく航くん家にお邪魔してたと思うけど…」

「週末だけじゃ足りねえ。…もっと紫を側に感じたい」


言うや否やぐっと腰を持ち上げられ、わっ!と声を上げながら紫の体は宙に浮く。対面抱きの体勢のまま、紫は航輝の肩に手を置き恐ろしく整ったその顔を見下ろした。


「こ、航く…」

「なあ紫、」


蕩けんばかりに微笑んでいた航輝の顔が、途端に妖美な色を映し出す。

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