ハイスペ上司の好きなひと
「付き合わせて悪かったな」
対面に腰掛け箸を持ちながら飛鳥はそう声をかけてきた。
「いえこちらこそ。私の事まで気を遣っていただいて逆に申し訳ないです」
「せっかくなら快適に過ごして欲しいしな。じゃなきゃルームシェアに引き込んだ意味無いだろ」
ただでさえ異性の上司なんて気が休まらないだろうになんて飛鳥は言うが、紫からしてみればその意味合いが違うんだよなあと暗に思う。
出来るだけ意識をしないよう努めてはいるが、ただでさえここ数年、年の近い異性と関わりが薄れていたのに顔面偏差値の高い飛鳥と長い時間を共にして心臓は忙しく動きっぱなしだ。
どこからどう見てもかっこいいのに時折垣間見せる可愛さのギャップはもはや凶器だ。
なんでこの人に恋人が居ないのか、もうこれは我が社の七不思議だ。
「そんな事ありません。飛鳥さんには本当に感謝しています。でも、居候中であろうが恋人ができた場合は仰ってくださいね?すぐに出て行きますから」
いくら困っているとは言え、他人のプライベートを蔑ろにしてまで迷惑はかけたくない。
そう思って何気ない気持ちで声をかけたのだが、飛鳥の手がピタリと止まったかと思いきや明らかに表情を曇らせた。