ハイスペ上司の好きなひと


何気ない風を装ってカップをソーサーに置いているが、その沈黙は肯定としか思えなかった。


「実はそうなのかなとはずっと気にはなってたんです」
「…そうなのか」
「はい。あ、誰かは聞きません。ただ…もしそうなら私が家に居るのは非常にまずいのではと思っていて…」


飛鳥ほどの男に想われていると知れば、その相手だってきっとそれを受け入れるだろう。

その時に他人の女が家に居たらその弊害になってしまう。

それは紫の望むところではない。

大事な想いを蔑ろにしてまで守る義理も無ければ、守られる義理も無いのだから。


「それは大丈夫だ」
「でも…」
「俺がその人とどうにかなる事は絶対に無いから」


< 36 / 244 >

この作品をシェア

pagetop