ハイスペ上司の好きなひと



その数日後、飛鳥はフランス支社へと向かった。

出国をする朝、家具の受け取りを頼むと言い残して飛鳥は家を出て行った。

最短での受け取り日が平日かつ時間指定が不可で、しかも飛鳥が出張に出る日だったので紫はその日に合わせてリモートの申請を出して家に居る事にした。

承認するのは飛鳥だったしその日は会議の予定も無く事務作業のみだったので、静かな家の中で紫は自分のペースで作業を進めていた。

業務開始の連絡を入れて数時間、もうすぐ昼休憩に入ろうかという時だった。

ふとプライベート用のスマホに通知が届き、キーボードをタイピングしていた手を止めてそれを手に取った。


「あ!藤宮さんだ!」


彼女からの連絡の内容は想像がついていたので、紫は悪いとは思いつつも早速届いたメッセージを確認した。


「わあ…!可愛い!」


思った通り彼女からの連絡は出産報告で、おくるみに包まれた小さな赤ちゃんの写真が添付されていた。


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