ハイスペ上司の好きなひと
「男の子だったんだ…!」
メッセージには生まれた赤ちゃんが男児であったこと、それから紫の仕事を気遣う内容が書かれていた。
そんな事気にする必要無いのに、と思いながら返事を書き込む。
お祝いのメッセージと、可愛すぎる赤ちゃんへの感想。
さすが美男美女の子供だけあってまだ生後間もないというのに既に整った顔立ちをしていた。
最後にゆっくり身体を休めて欲しいという言葉も添えて送り、お気に入りのキャラクターのスタンプも送った。
そうして幸せな心地のままスマホの画面を切り、フローリングに背中から倒れ込み横になる。
「子どもかあ…」
それを考えざるを得ない年齢に入ってきている自覚はある。
親や友人も、当然のように紫がいずれは結婚をして母になる未来を想像している。
けれど当の本人である紫には今そんな余裕は無く、早く貯金をして自立しなければという意識の方が強い。
けれどそうしているうちにあっという間に年齢を重ね、気付けば"中年"と呼ばれる年齢になってしまうかもしれないと思うと、それはそれで怖くなった。