ハイスペ上司の好きなひと


その時もまだ自分は独りなのだろうか。

いつか誰かに想いを寄せて、それに応えてもらえる日が来るのだろうか…。

そんな考えを巡らせているうちにインターホンが鳴り、家具の到着を知らされた。


飛鳥に言われた通り組み立てやセッティングは業者に依頼し、紫はそれを基本眺めているだけで尋ねられた時だけ答える。

配置は任せると言われていたので自分の思う限りで良い場所を指定し、半刻ほどで業者も家を後にした。

一応全て届いた旨の連絡を入れておいた方が良いと思い、リビングの写真を撮って飛鳥へメッセージを飛ばしておいた。

トーク一覧に並ぶ飛鳥の名前に、不思議な感覚が込み上げる。

飛鳥への想い人への気持ちを知らなければ、彼のプライベートの連絡先を知っている事に優越感を感じられただろう。

実際本当に恵まれた立場だとは思う。

優秀で優しい、ハイスペイケメンな上司なんてそうそう得られるものでは無い上、家で眠れないと言えば居候までさせてもらっているのだ。


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