ハイスペ上司の好きなひと
飛鳥の出張は2週間を予定していた。
その間一度自宅へ戻ってみたのだが、やはり状況にあまり変化は見られず隣の部屋からは乱暴な物音だったり果ては嬌声だったりが聞こえるのでその日は数時間もそこにはおれず即退散した。
この事で更に飛鳥への感謝が膨れ上がった。
因みに、例の部屋の反対側の部屋は空き部屋になっていた。賢明な判断だ。
飛鳥の不在も残るところ数日といった時、節約の為に弁当を持参した紫は昼休みに入るとそれを温めようと給湯室へ足を踏み入れた。
そしてそこで先に居た女性社員にあっという間に囲まれてしまった。
「ねえ古賀さん、お願い!飛鳥主任に探り入れてみてよ〜」
「えええ…」
囲まれたといっても、集団で何かされる訳でもない。
ただお願い事をされたのだが、またそれが厄介な内容だった。